2013年11月22日金曜日

個展「水月」開催のご案内

東京・恵比寿のNADiff apart 3FにあるTRAUMARISにて個展を開催していただくことになりました。

個展での作品発表は4年ぶりとなります。

2008年から今年までの5年間に描いた箔を使用した作品を中心に展開し、
近年集中して取り組んでいる水墨作品も初公開する予定です。

オープニングは12月12日(木)18:00〜22:00となっております。
年末の忙しい時期ですが、是非お立ち寄りください。
会場にてお待ちしております。


また、以前お伝えしたシェル美術賞のSAS展示と同時開催となります。
合わせてご覧いただければ幸いです。


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牛島孝展 「水月」

2013年12月11日(水)〜12月28日(土)
オープニング:12月12日(木) 18:00〜22:00
会場:TRAUMARIS|SPACE(恵比寿NADiff apart 3F)
http://www.traumaris.jp/


TRAUMARIS|SPACEでは、神奈川出身、石川県金沢在住の
美術作家・牛島孝(1980年生)の新作展を開催します。



 タイトル「水月」とは、月が映るほど静かな水面、転じて
 鑑賞者自身の心や環境、社会状況などを映す鏡のような画面
 を意味しています。
 『掬水月在手 弄花香満衣』 (みずをきくすればつきてにあ
 り はなをろうすればかえにみつ=両手で水を掬うと夜空の月
 が手の中の水に映り、花を手折ると香りが衣にしみるほど満ち
 てくる)という禅語があります。
 水に映った月のように、有でもあり、無でもある、相反する 
 要素が同居する、ものの捉え方ができる絵を目指して描いて
 います。あえて多様な捉え方ができるようにすることで、心
 がとどまる場(住地-じゅうち)を作らず、「心の漂う間」
 をつくりだす。「間」は満ちていることで成立すると考えます。
 (牛島 孝)


牛島は、金沢美術工芸大学日本画専攻を卒業後、金沢を拠点に制作を行っています。
初期の作品以来、板に和紙を貼ったパネルに、金沢の伝統工芸である金銀やアルミの薄い箔を施し、即興的で軽やかな線描と、岩絵の具特有の渋いモスグリーンや芥子色により、室内や庭などの断片的情景を描いてきました。

近年では、石庭の配置を決めるように、緊張感のある間合いでモチーフを配し、より抽象化された構図が際立っています。
華やかな金箔や銀箔に加え、仄かにぎらりと煌めく、燻し銀の黒箔がほどこされ、限りなく要素を削ぎ落とした画面には、より一層の深みが生まれました。

また牛島が常にそこにしっとりと効かせているのが、黒という色。
19世紀の画家・ルドンの版画を思わせる「漆黒」です。
見る角度により、ときに煌めきを帯び、ときに光を吸い込む、漆黒のケムリが陽炎のように立ちのぼります。

古都で培った伝統的な日本画や書の技法と、1980年生まれの作家の瑞々しい眼差しが映し出すその世界は、月明かりに冴え冴えと浮かび上がる坪庭のような親密さで鑑賞者に語りかけ、「心の漂う間」を醸成するのです。

本展示は、箔を使用したパネル貼りの作品を中心に展開し、近年試みている水墨作品2点も発表いたします。

また同時期に国立新美術館(六本木)で開催される「シェル美術賞 アーティスト セレクション(略称SAS)」に出展しております。「シェル美術賞」の受賞・入選作家から、今後の活躍が期待される作家を4名選出し、新作・近作が展示されます。



TRAUMARIS アートプロデューサー・ライター
住吉智恵

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出品予定作品 
120925-1 墨、岩絵具、胡粉、銀箔、和紙 162×115​cm
sumi ink,mineral pigment,shell pigment,silver leaf on handmade paper.





2013年11月9日土曜日

数年前までは、

できるだけシンプルに、無駄をそぎ落とした、ひたすらシャープで切れ味の良い表現を目指していて、

その事自体は間違ってはいなかったし、ある程度の結果も出せたのですが、どうにもそこから前に進まない。

切れ味はどれだけ鋭くても、ペラペラのカミソリの刃のようなものでは、鑑賞者の心に切り込むにも限界がある。。



ということで、最近はそれに重みを持たせる試行錯誤をしています。

一点あたり半年ほどの時間をかけたりと、以前では考えられない、積み重ねる作業をすることで、
鈍器のような作品を作ってみたりと、

すこし回り道をしながらも、重みのある表現を模索しています。

いつの日か、ペラペラのカミソリの刃が、ずっしりとした太刀になるように。

2013年11月8日金曜日


表現することに、正解というものはないのだから、

もしその表現に躊躇という要素が入っていなかったら

それはうぬぼれに過ぎないと思うのです。

ここに線を引いていいかどうか、

ここに色をおいていいかどうか、

すこしでもその幻の正解に近づく為に、

考え、ためらい、躊躇しながら積み重ねていく。